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2011年3月 1日 (火)

やっぱインフレぢゃん

前項のコメント欄でますもと氏が指摘の、NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」シリーズ、なかなかの労作。メディアの問題を取り上げた前回(2月27日放送)は、昭和20年代生まれの当方にはやや物足りなかったけれど、あの戦争をまったく知らない世代のほうが多数を占める今日、観る価値はある。

番組の最後で「メディアがおかしくなれば、国家はすぐおかしくなる」と語られていた。ぼくは、メディアも国家も、すでに、おかしくなっていると思うが、幸い、「戦争」という土壌では何とか持ちこたえている。我が祖国の憲法は自衛隊という軍隊を理論的には認めていないことが貢献しているからだろう。番組が描いた昭和ヒト桁の、「統帥権干犯」なんて言葉が飛び交う状況になれば、もはや是非もない。

メディアの変調については、ここでも折々に触れてきた。自分のことは棚に上げるけれど、とにかく一本調子になっている。物事の本質を見ようとしない。口を開けば「心の闇」やら「謎は深まる一方」やら。もしくは「政治とカネ」やら「デフレ脱却」やら。この種の常套句、枚挙に暇がない。決まり文句で、その先へは思考停止。

小生、元経済記者だからデフレの意味するところ、承知しているつもり。だが、「デフレ撲滅」の大合唱を聞き分けると、①物の値段が下がる→②企業の売上げが減る→③給料が下がる→④消費意欲減退→⑤物が売れない→⑥価格さらに下落……の、バカの一つ覚え。10年前なら、いざ知らず。

①から②への流れに、まずウソがある。これが正しいなら、たとえばユニクロ(直近では大幅減収らしいが、それはさておき)はどうなる? 百均ビジネスは何故成立している? 何の企業努力もしなければ、たしかに②③④⑤と進むのも否定できないが、モノが売れないのには、買いたいモノがないのも事実だろうし、そうしたなかでも付加価値をつけて買ってもらおうと頑張る商売も少なくない。ジャパネットなど通販・ネット通販が好例。この手の事例も、言い出せばキリがない。

もうひとつの大きなウソは、⑤から⑥。以前にも指摘したと思うが、価格競争に疲れた売り手は、少し前から、値上げに転向している。1箱250円前後だった商品、225円に値下がりと喜んだら、内容量が20%も少なくなっていた。これもまた、いまやありふれた話。

政治家や学者先生は、自らスーパーで日用品の買い物などしないから、生活実感としての物価上昇に気づかない。日本がシュリンクしている、その元凶のひとつがデフレだ、デフレを克服しないと日本はさらに沈むぞ、と、マクロしか見ない言い様。

そして、ついに、原材料の価格高騰による値上げラッシュ。ガソリン、コーヒー、サラダ油……。ニュースでいわく、「インフレの春」だとさ。

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コメント

 鋭いご指摘です。「知っている人は知ってる」ですまされやすい話が、多すぎますね。メディアはそのとき「知らなかった」ととぼけるんですけどね。
 NHKスペシャルの状況と違うかもしれない、と多少は期待しているのが、強いメディアが1つもない、という点。新聞の発行部数はもうどうにもならないし(若者は読んでません)、ラジオの役割も限定的、テレビはねえ。影響力がないわけではないですが、大した影響力はなくなっているように思います。
 ネットも過大評価されていますし。
 メディアが分散しているのはいいのですが、それもまた閉塞感につながっているかもしれません。
 日本は、ある意味で先進国なので、デフレとかインフレを超えた状況に進みつつあるように思いますが、どうでしょう。

投稿: ますもと | 2011年3月 2日 (水) 08時40分

ますもとさん、ありがとう。論文を書いているわけでなく、いささか性急な展開に「鋭い」と。恐縮です。
たしかに、ぼくも似たような感想を。いまどき「不買運動」やられても大したプレッシャーにはなりますまい。メディアの影響力の低下、幸か不幸か、微妙ではありますが。
「デフレ・インフレを超える」とは、またまた難しい命題を。考えてみましょう。

投稿: hiperk | 2011年3月 2日 (水) 15時32分

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