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2010年9月 5日 (日)

おとなの責務

また、イヤなものを見た。

70歳は超えるかと思われる、おそらく祖母と、小学校高学年かな、おそらく孫娘とが、交差点に差し掛かる。
横断歩道に向かう女の子に、見た目には人品卑しからぬ祖母が手招きし、「斜め横断」すなわち交通法規の逸脱を促している。
女の子は、聞こえないのか、いや祖母の声は届いているようだが、無視する。
老婆は、「こっちこっち」と言う。続いて口にした言葉は聞き逃したが、僅かながらでも叱責するかのような口調で、自身は、横断歩道の手前から車道に出て行く。

横断歩道に掛かる信号は青である。ぼくは、彼女たちとは反対側から歩道を進む。

間違いなく戦前派の祖母は、さらに、孫に対して、こっちへ来いと、少しきつい調子で言葉を重ねながら、車道を突っ切っていく。
10歳か11歳か、明確な年齢は不明だが、バックパックのようなものを背負った彼女は、顔を祖母に向けるものの、やはり応じず、横断歩道に達し、そして、渡り始める。

その女の子とすれ違い、振り返ると、青信号が点滅を始めた。歩道上で合流しつつある祖母は孫に、急げと命じる。小走り加減の二人は、赤に変わる前に渡り終えた。

車道は、その瞬間、とくには混雑しておらず、多少の斜め横断を許容する状態ではあった。
しかし、律儀に横断歩道を選ぶ孫娘に対して、何故に、祖母は咎めかのような口調となるのか。

もちろん、ぼくとて、車道を突っ切ることなど、珍しくもない。クルマの姿がまっくたなければ、赤信号を無視、そんなことは、あまた知れず。無前提に法を遵守する思考は、ない。

それでも、ぼくは、心の中で憤慨する。
こうしたシンプルな条件下では、少なくとも肉親であるならばなおさら、目上の人間は、まだ成人に遠い目下の範にならなければいけないのではないか。

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