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2009年12月22日 (火)

ありのままに

文章については、些か自負はあるけれど、短歌とか俳句だとか、そういうものの素養はない。
20年ほど前にベストセラーとなった『サラダ記念日』には、たぶん多くの人と同様、ちょっと影響受けたりして、5・7・5・7・7に挑んだりもしたが、それだけのこと。サラリーマン川柳みたいなものは、まあ、これも一般的な話だろうが、少しは興味を持つけれど、こちらも、所詮は遊び。

だから、『生きていくための短歌』(南悟、岩波ジュニア新書)という本を贈られたとき、正直、シンドイと思った。誰あろうseigu翁からで、知らん顔できないし。この手は、斜め読みするのも難しそうだし。中高年相手に人気の芸人のような、笑いの対象でもなさそうだし。

先日、仕事の行きかえりにチャレンジすることにした。200頁ほどの、最初の一章、約30頁で挫折。つまらないから? いや、まったくの正反対だ。思わず泣きそうになり、それ以上、読み進めなくなったのである。
単なる形容詞ではなく、ホント、涙が滲んできた。人前でなければ、嗚咽になっていたかもしれない。急いで、本を閉じた。電車の中だもの。

そんなわけで、やっとの思いで、まだ半分程度。目の前の仕事もあって、読了まで、いましばらく時間を要しそう。でも、早く紹介したい。

「定時制高校生が詠む、魂の歌」との惹句は大袈裟ではない。その名のとおり、昼間は働き、夜に学ぶ、おおむね10代の、ほとんど初心者たちが、技巧もなく、飾りもなく、ありのままに、生きる喜びや悲しみなどの、思いを込める。

その思いが、ストレートに、こちらの心に届く。なまじテクニカルではないだけに、不思議なくらい、この独尊オヤヂに迫ってくる。
いまのところ、たとえば俵万智のような、さすがとかうまいとか唸らされる歌は、ない。いや、下手と言うべきだろう。でも、突き刺さるのだ。シロウトゆえの素朴さ、それが、まっすぐに。

著者の南さんは、定時制神戸工業高校の教師を30年間、務める。国語の先生ではあっても、別段、「歌人」とかではないようだ。この南さんの、詠み手の紹介が、うまいのかもしれない。淡々と、事実だけを書き記し、歌を紹介する。それがまた、涙を誘う。

冒頭で、文章には自信があると書いたけれど、いやいや、ちょいと恥ずかしくなってきた。ぼくには、これらの短歌の、詠み手の高校生たちの、そして、この本の素晴らしさを、ちゃんと伝える自信がない。

よかったら、買って、読んでください。

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コメント

いやあ、驚いた。
深謝。
著者へ紹介しておきました。初メールですが。

来年の1月11日にNHKで関連の事柄を紹介する予定と。「青春の短歌」HPにありました。
有難う。

投稿: seigu | 2009年12月22日 (火) 19時14分

hiperk 様

このたびは、「生きていくための短歌」をお読みいただき、その心が込められた感想をお届け下さり、真に有り難うございます。
森先生のご高名は、かねてより存じ上げており、「働くって何だ」は読んでおりましたので、思わぬメールで大変喜んでおります。
hiperk様の激励は、定時制高校とそこで働き学ぶ生徒への温かな思いやりに満ちたもので、大いに感激しております。
私も、生きることが難しい生徒の命を支えることのしんどさを痛感し、時にくじけそうになることもありますが、森先生やhiperk様のように受け止め見守っていただける方がおられるのだと思うと、力づけられ元気がもらえます。
早速、私のホームページに引用紹介させていただきますのでよろしくお願いいたします。
今後とも、小さな存在である定時制高校と生徒たちへの激励と応援をお願いいたします。取り急ぎお礼まで。
              南  悟
                                             

投稿: 南 悟 | 2009年12月24日 (木) 10時30分

南さま、ご丁寧なコメント、恐縮です。
そのときの気分で気ままに書き綴っているブログでのこと。
よしなに。

投稿: hiperk | 2009年12月24日 (木) 12時23分

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