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2007年9月20日 (木)

男ってやつは……

えーっとぉ、バランス上、本日はこんなタイトルをつけてみました。まあ、いまさらながら、女性はリアリスト、男はロマンチスト、もしくはセンチメンタリストでね、一般に。昔の恋人のことをずっと思い続けるなんて、まったく「男ってやつ」のバカさかげんをよく表していて、逆に、女性はさっさと単なる「記録」にしてしまう。「女々しい」という言葉は、ホント、おかしくて、正確には「男々しい」と表記すべきですよね。って、これも、すぐれて個人的な? ま、いいや、ぼくは自他共に認める、いくじのないやつで、軟弱な男ですから。

「シンデレラ・エクスプレス」は、ちょうど30年前の9月の出来事。カノジョは、おそらく、いや、きっと、もう、あの日のことを忘れているだろう。さすがのぼくですら記憶は断片的になってしまっている。しかし、新大阪駅で、その日の何杯目かのコーヒーを飲みながら、東京行き最終(午後8時発の「ひかり」だったかと)新幹線を待っていた、あの時間は凍結してしまっていて。10年を過ぎたころ、名前が変わってしまったが、その喫茶店の名前は覚えているし。列車のドアが閉まる寸前、その後のトレンディドラマのように、カノジョにキスしようとして(欧米かっ!?)、つと身をかわされ(そりゃそうだよね、当時の日本では公衆の面前でのキスははしたないものだった)、唇に届かず、頬に触れた、あの感触も。

前に「デリケートな事情」と書いたけれど、そのとき、カノジョは、ぼくの知る「姓」ではなくなっていた。その事実を伝えられたのは一時帰国のあとだったが、ノーテンキなぼくは、そんな事態は想像だにしていなかった。24歳。そのころのこの国には「結婚適齢期」というやつが厳然として存在していた。遠いアメリカからいつ帰るかわからない「恋人」を待って「25歳の壁」を越えるのは至難だった。親の勧める縁談を拒否できなかったカノジョを非難することなど、できやしない。
結果、8月にビザの更新のため戻ったぼくは、「恋人」と逢うことを赦されず、「人妻」とのデートという状況になってしまっていたわけだ。真っ白な、プラトニックな1日ではあったが、本質的には、「密会」だった。その事実の重みは、ぼくたちの未来を閉ざした。
そのうえ、カノジョの新生活は、すでに破綻していた。のちの「成田離婚」のパイオニアではなく(まだ「羽田」だったし)、それも、この浅はかな男のせいである。7月、一時帰国を知らせる手紙で、ぼくは、こともあろうに、「キミを忘れられない」と勝手なことをほざいた。式の1週間前だった。動揺したカノジョは、しかし、逃げられず、その日を迎えてしまう。新婚旅行から戻ると、そのまま別居へ。そう、カノジョの門出を壊したのは、ぼくだ。
結局のところ、ぼくは、最悪のタイミングで、プロポーズしたのである(そのぼくに、一国の総理の辞意表明の遅さなど批判する資格はないだろうなあ)。それでも、そのあとの展開が好ましいものであればまだ救われるのだが、一度切れた糸はもう紡げない。この、思い切りの悪い男は、そして、以来30年、後悔し続けている。人生にやり直せる瞬間があるのなら、まちがいなく、あの夏だ。だが、この道は、元に戻れない。若かった。無知だったし、無恥だった。だから、ぼくは、若さに憧れない。ただ悔やむだけ。
そのくせ、あの7年間を、ぼくは、いまも、懐かしんでいる。まったく男ってやつは……。

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