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2006年11月18日 (土)

世情

きょうのネタはタイトルそのまま。中島みゆきの78年の曲で、TBS系ドラマ「3年B組金八先生」の挿入歌として使われ話題になった、とか。「あの人は今?」的番組での知識だが、この時期、海外にいたのでリアルタイムでは知らない。みゆきフェチなので、賞賛こそすれ、批判はしないぼくだが「シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく」の歌詞には、ちと首をひねる。

70年代も終わりのころ、シュプレヒコールという単語に普遍性はもうなかっただろうし、いまでは死語かも。珍しく戦闘的な言葉。どうして選んだんだろうね。いつもの、個人的な、つまり自分だけの、半径50センチの、女の恨み節ではなくて、曲調も、妙に、社会的、なのに、ペシミスティック。社会的なテーマの場合、もう少し力強いトーンなんだよね。らしくない……。

さて「世情」とは何か。「世の中の事情」「世間一般の人の考え」と辞書はいう。「社会」ではない。似て非なるモノ。たとえば、鬼がない、または鬼ばかりなのは渡る「世間」であって渡る「社会」ではないし、騒がせて申し訳ないのは「世間」であって「社会」ではない。ビミョー。世情も「社会の事情」ではない。前述したように、この歌は「社会的」であって「世間的」では絶対にない。

英語にしたら共にsociety、communityかと思えば、世間は「the world」とか「people」「the public」となる。ニュアンスとしては、そこはかとない差がわかるような、わからないような。仏教用語では「変化してやまない迷いの世界」だそうで、もちろん凡人には理解不能。seigu先生に教えを乞おう。よしなに。

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コメント

世情、広辞苑は「世のならわし」と。「世情に通じる」が例。
愚生は「世情騒がしく」をはじめに思い浮かべました。「世情騒然と」などもありますから、世の中の感情的傾向を言うのではと思いますが。

ちなみに仏教、古くはこんな使用例があります。
「示に曰く、学道の人、世情を捨つべきについて、重重の用心あるべし。世を捨て、家を捨て、身を捨て、心を捨つる也。」
「正法眼蔵随聞記」巻二。(探し出すに一時間ほど。)

この場合の世情は、「相対の世間で習慣となっている分別判断」と注にあり。

衒学的ですが、古くから世情は世のならいというように「世間のしがらみ」的な世の中の感情的分別判断を言うのではないでしょうか。

挙げている歌詞は知りませんが、推察するに「世情騒然」といったあたりを言おうとしているのではないでしょうか。

ところで、陶淵明はどう評価されますか。いまその全集を岩波文庫で読んでいるのですが、どうもhiperkさんが重なるように思えます。いずれ、ゆっくりと証してみましょう。

投稿: seigu | 2006年11月18日 (土) 20時11分

先生、無教養な人間に何を仰る、陶淵明とは。。。古典の成績はまあまあでしたけど漢文は苦手でして。いまさら「帰りなんいざ」と問われても、何と応じてよいものやら。えっとぉ、どんな人だったけ、ネットで検索。ふむふむ。
あぁ、「晴耕雨読」の生き様で準えられましたか、ふうむ、ぼくはできれば「晴読雨読」がイイなあ、「読」は「(DVD)観」でもいいけれど、なにより宝くじが当たると幸せなのに、とか、凡庸かつ浅はかな妄想に囚われた、まことに不埒な輩でして、陶淵明のような、世俗に背を向ける高い志など無く。未だ隠遁生活には遠く、重ねてはいけませぬ。

で、本題。そうですね、世間は、極めて情緒的。対して「society」の翻訳語である「社会」は、なにやら理屈っぽく。歌詞の引用は著作権法に抵触するのでできませんが、この歌での「世情騒然」にイマイチ納得いかず。1978年、日本の「世情」は騒がしかったですか? 73年石油危機を乗り越え、85年からのバブルには程遠く。「学校」という世間が騒然とし始めた、ということかしらん。

再び。陶淵明より、小生、項羽の「虞美人草」が好きです。虞や虞や なんじをいかにせん。一人の女に身を焦がし、絶望的に劉邦の陣へと突っ込んで行った死に様。ヒロイックで。間違っても、漱石の「虞美人草」を持ち出してはなりません、孤立は社会的に無力であり自己否定的精神が云々~という話に発展してしまいそうですからね。

投稿: hiperk | 2006年11月18日 (土) 21時32分

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