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2006年10月19日 (木)

Can I help you?

25年前、生活の拠点をアメリカから日本に移した。当時、英語はお洒落なアクセサリー。流暢に話すことで就職に有利、なんてことはなかった。逆に、電車乗降の際などに、女性に「お先にどうぞ」と譲ると怪訝な顔をされた。キザなのだ。「元始女性は太陽」の我が祖国に、男尊女卑の本音抑制から生まれた建て前「レディ・ファースト」は馴染まない。

ところが、母国語もままならぬ時期から英語を学ばせることを歓迎する時代になってきたらしい。何がどう「進化する」のだろう。劣等感が払拭されるのなら、まあ、悪いことではない。しかし、咄嗟に「おっとっと」の代わりに「ウップス」と口にする子どもが本当に期待されているのか。「国際人」って、そういうもの?

某N社のCMの、助けを求める外国人を見捨て語学学校へと駆け込む姿は、十分に醜い。自虐的な宣伝手法だとは思うけれど、でも、素直に受け取る輩が多いのではないかと心配する。言うまでもなく、緊急の場合に必要なのは、言葉ではなく、行動だ。そして、強烈な動機だ。

英語なんぞ、ただの道具。自慢じゃないが高校での成績は悪く大学では単位すら落としたこのぼくが、6年も英語圏で生きてりゃ、ウォールストリートージャーナル紙も斜め読みできるようになるし、州知事とのインタビューにもビビらなくなる。で、いまや、すっかり日本人に戻ってしまって、ハリウッド映画は字幕に頼る。そんなものさ。

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コメント

ブログ開設、おめでとうございます。
以前もそのN社のCMについてお話されていましたね。私はあれは自虐的どころか「英語なんてなんの役にも立ちませんけど」と最初から投げている、英語偏重な日本社会への警鐘を含めた皮肉だろうと勝手に解釈していました。すごいですよね、たとえば「まあ、飲んでも飲まなくても平気です」というコピーのトクホの飲料CMを想像してみてください。ありえないと思いますが、あるかもしれません。TVウォッチャーの方ならご存じかも。
それより、その英語を学ぶ間に外人の髪の毛があんなになっているということはですよ。あれを学ぶのに何日かかったか、ということが恐ろしく、そこには「ま、何年かよってもこの程度かもしれませんけど、ごめんね」というメッセージも含まれているようです。

投稿: ますもと | 2006年10月19日 (木) 17時01分

ますもとさん、そうですね、いつだったか、そんな話を酒の席で。件のCMは、その後、続編も放映され、どうやら「確信犯」かと。
トクホ(特定保健用食品)ではないけれど、健康に良いらしい食材のCMでも「買うなよ」みたいなフレーズで注目されませんでした? ぼくは、それに出てるお笑い芸人が嫌いなので、よく覚えていませんが。
それにしても、CMって。「より白く」と主張する洗剤は「いままでは何だったんだ!?」て突っ込みたくなるし、RV車を買ったからって幸せ家族の保障はなく、市販の風邪薬よりも休養のほうが必要ではないかと思うし、有名人によるドラマ仕立てには「あんた、その会社の社員じゃないじゃん」と。

投稿: hiperk | 2006年10月19日 (木) 23時54分

こんにちは。
英語圏に長く暮らしていると、日本人には聞き取りにくい周波数の英語の発音も聞き取れるようになるものなのでしょうか?
ヒアリングの出来ない私には、英語圏の人がスペル通りの発音しているようには聞こえないのです。

投稿: 一加葉 | 2006年10月25日 (水) 16時15分

一加葉さん、こんにちわ。
「スペル通りの発音している」とは限りませんよ。ぼくらだって、「ぼくは」と書いても実際には「ぼかぁ」と発音するし、「英語」も「えいご」ではなく「えーご」でしょ、実際には。この「えーご」を「えいご」=「英語」だと判断するのは、同様にヒアリングの力の弱いぼくにとっては、「聞き取り能力」ではなく「推理」だと、そう思っています。この推理、単なる遊びのためではなく、現地で生活していた身には、生き抜くために「必須」だった。それだけのことです。
レストランで「soup or salad?」と訊かれ、「スーパーサラダ」と聞こえるので「yes」と言うと、ウェイトレスは当惑した顔つきになります。それを見て「あぁ、これは、スープかサラダか、どっちを選ぶのか」と尋ねているんだと推理するわけで、「salad」と答えると、ニコッと笑って、それがテーブルに出てきます。あんまり良い例じゃないけれど、サラダを食べたいという欲求を満たすためには、こうした失敗を繰り返しながら、推理能力を高めていくわけで。ま、よーするに「慣れ」ですね。
周波数のことになると、専門家ではないから不正確だけど、人によるみたい。同じ日本人でも個体差がかなりあるようです。「耳がいい」と俗に言われる人、うらやましいですね。

投稿: hiperk | 2006年10月25日 (水) 21時29分

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