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2006年10月31日 (火)

会津の旅その7

風呂のあとは散策。朝食の用意に忙しいミセスに声を掛けて、下駄を履く。少しだけ冷える。すでに身支度した相方は、宿の半纏を羽織る。林の中というわけではないので若干、風情に乏しいが、人里離れた立地。気分は爽やか。厨房からは、キノコ料理の匂い。どこまでもヘルシーな朝。
宿に戻り、庭を歩く。8時半。部屋のほうから「用意ができました」とオーナーの声。座席が自由選択の今朝は、杉テーブルを選ぶ。やや若い客は囲炉裏端、もう1組はカウンター席。典型的な和食。ゆえに「この納豆が……」と、こだわりの食材の説明。ゴメン、それだけは。「黒豆の納豆、珍しいわ。美味しいわよ」と相方。何も言うまい。粕漬けの鮭が旨い。相方から半分もらう。さんくす。朝からゴハン、ぼくには稀なこと。でも、美味しいから、食は進む。相方も同様。
食後のコーヒーを楽しんでいると、ミセスが旅のアドバイス。裏磐梯にも行ってみたいのだけど。電車利用のぼくらは、でも、事前に綿密プランニング。残念ながら、10時半チェックアウトの恩恵を返上して出立しなければ。去るのも一番か。荷造りを終え、精算。満喫したと告げる。嬉しそうなオーナーの顔。いかにも、日本のおっちゃん。ミセス? もちろん、日本のおばちゃん。
いわく、じゃらんのユーザー評点が下がったとか。気にしちゃダメだ、そんなこと。若いヤツに、この宿の素晴らしさは理解できない。インスタントラーメンなんて無かった時代をちゃんと知っている世代なら、わかる。オーナーは、ネオンの海を忘れたという。修行も積んで、約10年、この地で宿を維持してきた、ジモティ。であれば、自らのこだわりに誇りを持って、毅然としていればいい。人の好みは千差万別。すべての嗜好に応えることなど、できないのだから。

タクシーで駅へ。猪苗代湖遊覧の船着場へバスで行く手はず。ここで、今回の旅唯一の瑕疵。事前に確認の時刻にバス来ず。けっこうな列ができているのに。訊くと、まさに本日、新しい時刻表に。ダメだよ、バス会社。サイトでも調べたが、駅の掲示板でもチェックしたばかり。一言も触れていなかったぞ。結局、30分あまりのロス。ねっ、顧客満足なんて掛け声だけ。するべきことをやらない、それも簡単にできること。利用客のことを思えばいいだけ。それが、いまのこの国には、もはや高嶺の花になりかかっている。「サービス」を「おまけ」と勘違いしているのか。夫婦二人だけでも、真っ当な「サーブ」を提供できるんだぜ。
長浜で下車。この船、サイトで「随時運航します」と。ホントかねと疑心暗鬼募る。が、こちらは正しかった。ぼくらを含めて15人くらいが集まり、果たして出航。かつては割増料金が必要だったのではないかと思われる、2階席はボックス型で、ちょっぴりゼータク気分。6人は座れるところを独占。けっこう遠くまで進む。磐梯山が一望できる。35分の船旅、満足。
徒歩で天鏡閣へ。上り坂。基本はクルマなのだろう、多少の不便も、やむなく。いや、不人気スポットなのかな、辿り着いたら、ほかに2人だけ。本日は日曜日。混雑は嫌いなぼくたち、異論はないけどね。明治期に建てられた有栖川宮の別荘に、かつての宮家の生活ぶりを羨みつつ、戦後、県に下賜と説明されるも「相続税が払えなくなったから?」と軽口たたく。近隣の南が丘牧場のアイスクリーム販売店あり。手持ち無沙汰か、店員、大笑いしつつテレビ観賞。客の前で。あまりのあっけらかんとした光景に、苦笑のみ。味は悪くなかった。
さらに、ぶらぶらと歩き、国民宿舎・翁島荘。評判らしいので「明治の人々のノスタルジックな味」の「天鏡閣ケレー」を「古代中国の健康食黒玄米とあわせて本格派の味わいを明治の浪漫と共にお召し上り」してみた。予想外の美味しさ。財団法人福島県観光開発公社の運営ゆえか、いまどき珍しい待たされ方ではあったが、カレーにはウルサイぼくも、結果オーライ。
手洗いから戻りし相方いわく、老人会みたいな集まりでカラオケやってた……。のどかな鄙。決して嫌いじゃない。都会は秒刻み。客が来たら船を出す、そんなアバウトなスタイルにも、何となく情緒を感じる。
今度は定刻のバスにて、野口英世記念館へ。といっても、それが目的ではなく。その一帯がドライブインもどきで、道路の両端に飲食店や土産物屋など一堂に。かなりの数の観光バス。な~んだ、会津の観光客はここにいたのか。でも、何故ここ? ガラス製品の店は大混雑。会津との関連って? 「なんか違和感、あるね」と相方。そんな中、孤高を保つ、会津民俗館。しまったなあ、ここ、ゆっくり観ればよかった。駅へ戻るバスの時刻が近づいていた。にしても、この大袈裟な地下道は何? 大した交通量でもなく、横断歩道で十分だろうや。
とある事情で、ずんだ餅を探す。発見できず。無念。「若松市内にはあったわよね」。そうなんだよね、タイミング。他でもと思っていると、二度と見つからず。ここが最後と決断すると、次の店でも扱っていたり。それも安く。一期一会。ん? 話が大袈裟か。なんにしても、「プロ」の仕事を見せてもらった。良い旅。
猪苗代駅からの復路は往路の裏返し。同じ道を帰るのは愚かだと誰かが言っていたけれど。是非もなし。旅の帰り道は、どこか寂しい。次は、いずこへ。早くも、そんな算段をしながら、日常へと戻っていく。(了)

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